僕のマグノリアレーン

2012.04.05

【第62回】
中尺パターはグリーンジャケットの夢を見るか?

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指す! そう宣言した元・ジャーナリスト上杉隆と、それをサポートする中井学による二人三脚レッスンドキュメント、を、今週は一週お休みして開幕直前のマスターズ大予想スペシャルです!

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今週は開幕直前・特別企画
上杉&中井のマスターズ予想!

中井 今週は「マスターズ前夜祭スペシャル」と題し、レッスンをお休みして私と上杉さんによる「マスターズ大予想」をお送りしたいと思います。

上杉 すごいですね~。来週の火曜日に読んだら、なんの意味もありません。しかもレッスンではないって、連載の趣旨から思い切り外れているじゃないですか。

中井 まあいいじゃないですか、一年に一度のお祭りですから。それに、ゴルフ界ではこのところ急激な勢いで世代交代が進み、まさに新時代の到来を予感させる群雄割拠の時代を迎えています。ゴルフの歴史的にも、今年のマスターズはエポックメイキングな大会になる可能性があります。

上杉 たしかに、出場する顔ぶれもずいぶんフレッシュな印象を受けます。

中井 数年前までとは明らかに変わりましたよね。優勝候補もタイガー、ミケルソン、エルス、ビジェイ・シン、といった名前だったのが、マクロイ、ルーク・ドナルド、といった名前が中心となってきました。

上杉 年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず。オーガスタの花(つつじ)は毎年変わらず咲きますが、出場する選手は年々変わっていく。うーん、諸行無常です……。

中井 マスターズは人を詩人にさせますね……。そしてどうやら、今年は異常気象でオーガスタのつつじは既に枯れているようです。それはさておき、上杉さんは今年のマスターズ、どのような予想をされていますか?

上杉 それを語るには、昨年のマスターズを語る必要があります。

中井 なるほど、一理あります。昨年のマスターズを、上杉さんはどう総括されているんでしょう。

上杉 最終日15番ホール、ティショットを飛ばし、アイアンで2オンを狙ったセベがセカンドショットを左に曲げ、痛恨の池ポチャ――あれから一年、セベの逆襲と、迎え撃つ格好となるニクラスとの争い、そこが焦点となるでしょう。

中井 上杉さん、それは「昨年」ではなく「四半世紀前」、正確にいえば1986年の出来事です。時計の針を1980年代で恣意的に止めるクセをそろそろ直してください。

上杉 そうでした。私が言いたいのは、マスターズのサンデーバックナインには、いつだってドラマがあるということです。中井プロは、今大会、どのあたりに注目しているのですか?

中井 ズバリ、中尺パターです。

上杉 中井プロ、マスターズは「ゴルフの祭典」ではあっても、あくまで技術を試す場であって、「ゴルフフェア」のような用品の品評会ではありません。

中井 ああ、言い方を間違えました。「中尺パターはマスターズを制することができるのか?」ですね。今、ウェブ・シンプソン(ワールドゴルフランキング10位)、キーガン・ブラッドリー(同19位、いずれもマスターズ開幕前段階)という元気のいい若手が中尺を使用して、台頭著しいですからね。

上杉 別に、どんなパターを使ってたっていいじゃないですか。

中井 昔からマスターズの超高速グリーンは、ピンのアンサータイプなど、操作性の高いパターが有利、と言われてきたんです。その「常識」を中尺パターが覆したら、それはマスターズの歴史に残る“事件”なんですよ。地味に。

上杉 地味ですね~。まあ、私もパターはピンアンサータイプですからね。むふふ。

中井 ええ、上杉さんも「アンサータイプを使用している」という一点においては、セベ、タイガー、昨年のシュワーツェルといったマスターズ覇者たちと堂々、肩を並べています。いずれにせよ、彼ら中尺マスターたちが勝てば、中尺が一気にブームになる、あるいは規制の動きが起こるなど、形はどうあれゴルフ界に大きな影響を与える可能性を秘めているんです。

中井プロが教えてくれる
「上手くなるTV観戦術」とは?

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ルール規制論争まで起きている中尺パターだが、まだオーガスタを制してはいない
上杉 私は、「ワールドランク1位」経験者たちの争いに注目しています。タイガーを筆頭に、マクロイ、ルーク・ドナルド……。

中井 僕は、優勝スコアが10アンダーならマクロイ、イーブンパーならドナルドが勝つ可能性が高まると思います。ルークは飛距離に劣りますから、飛ばし屋有利のオーガスタでは、ロースコアの戦いになればなるほど、持ち味を発揮してくるはずです。

上杉 つまり、大会期間中の天候やグリーンコンディションも、勝負に大きく影響してくるということですね。マクロイも頑張ってほしいな~。去年は最終日のバックナインで大崩れしてしまいましたからね。

中井 あの後、全米オープンで勝ったのは本当に見事。そして僕は、最終日に崩れたことよりも、3日目終了時点までブッちぎりのトップに立っていた、あの爆発力こそが彼の実力だと思います。また、ワールドランク1位経験者で忘れてはならないのが、マーティン・カイマー。ドイツが生んだ「あの人」以来のワールドランク1位選手です。

上杉 「レッド・バロン」ことベルンハルト・ランガーですね。そうです。ランガーはマスターズに2回勝ってます。15番ホールでイーグルを決めた時のあのシャイなガッツポーズが忘れらない。

中井 その通り。ドイツに3着目のグリーンジャケットをもたらす可能性を、カイマーは秘めています。さて上杉さん、「僕マグ」的には、「上手くなるマスターズ観戦術」もお伝えしたいと思います。

上杉 なんですか、「上手くなる観戦術」って。

中井 ズバリ、ショートゲームを見てほしいんです。ほら、上杉さんって、よく花道からロブショットとかするじゃないですか。

上杉 ええ、まあね、私もロブショットに関しては「マスター」と呼ばれても過言ではありませんから。ははははは。

中井 マスターズに出場するホンモノのマスターたちは、絶対に花道から無用なロブショットは打ちません。というか、アプローチを選択するときの発想が、根本的に上杉さんや一般のアマチュアの方とは違うんです。

上杉 相変わらず失礼な男ですね。一体なにが違うというのですか。

中井 「打ち方」を一切考えていないんですよ。「寄せ方」しか考えていない。つまり、自分からピンに向かう発想ではなく、ピンから自分に向かう発想なんです。

上杉 なにを言っているのか分かりません。

中井 分かりやすく説明しましょう。多くのアマチュアは、「こういう風に打てば、寄るだろう」という発想。対してマスターたちは「あそこに止めるには、ピン手前2メートルの斜面に、これくらいの高さとスピンで落とす必要がある。だから、このクラブでこういう風に打とう」と考える。つまり、「こういう風に打つ」ということを発想するタイミングが、最初と最後、まるっきり反対の位置にあるんです。

上杉 発想の順番で、結果が変わるもんですかね。

中井 大いに変わります。あらかじめ「落としどころ」「高さ」「スピン」が決まっていれば、基本的に「ゆるみ」が起こらず、どんな短い距離でもしっかり振り抜けるんです。しかし、「打ち方」を最初にイメージしてしまうと、距離感に対する不安感がスウィング中に頭をもたげやすく、それが「ゆるみ」につながってしまいます。アプローチではゆるむんだったら力んだほうがマシというくらい、ゆるみは大敵。そして、ゆるまないためには発想の順番を変えるしか方法はありません。

上杉 それで、具体的にはどこを見ればいいわけでしょうか。

中井 「振り幅」です。ロフトの立ったクラブで転がすならば小さい振り幅。フェースを開いて球を上げたり、スピンを効かせるときは距離に対して大きい振り幅。マスターたちのアプローチにおける振り幅のダイナミックな変化と、淀みない振り抜きを見てほしいですね。あれは、確実に参考になります。

上杉 なるほどな~。まあ、ひとつの意見として参考にしておきましょう。

中井 なんですか。いやに「上から目線」じゃないですか。

上杉 だって、中井プロはオーガスタに行ったことがないじゃないですか。オーガスタに生える雑草の一本まで熟知すると一部で噂される私と違って。

中井 く、く、悔しーッ!

 
というわけで、今週はマスターズ直前スペシャルでした。果たして上杉・中井の予想は的中するのか!? 目指せ、マスターズ! の前に、みんなで観よう、マスターズ!



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