僕のマグノリアレーン

2012.03.22

【第60回】
「手打ち」か「ボディ」か、それが問題だ!

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー・中井学のゴルフレッスンドキュメント! 今週は「手打ち」論争です。

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ゴルファー待望の季節到来に
上杉が思い浮かべるのは……

中井 いや~、長い冬も終わりの兆しが見えて、今年も「あの季節」が近づいてきましたね。

上杉 そうですね。私は「この季節」の訪れによって一年の時が過ぎたのを感じる、といっても過言ではありません。本当に、楽しみです。

中井 上杉さん、今年の「ご予定」は?

上杉 予定、ですか? うーん、今年はあれこれ忙しいので、ちょっと微妙ですね。クルマの中から眺める程度でしょうか。

中井 クルマの中? 上杉さん、ダメですよクルマの中でテレビを観ちゃ。

上杉 テレビ? なんでわざわざテレビで観る必要があるんですか。この目で見るんですよ、車窓から。

中井 車窓から肉眼で見る。おかしいですね、マスターズはテレビをつけないと観られないと思うのですが……。

上杉 マスターズ?

中井 ええ。

上杉 お花見じゃなくて?

中井 ……上杉さん、マスターズを目指すというこの連載の趣旨を、まさか忘れたわけじゃないですよね。

上杉 やだな~、忘れるわけないじゃないですか。でも実際、今年はまだ招待状が届かないんですよ。もしかして、ペイン委員長、私への発送を忘れているのかなあ。

中井 忘れてません。それに、上杉さんは選手ではありません。

上杉 まあ、私にとってマスターズは中学生の頃からあくまでもプレーヤーとして出場することを宿命付けられた大会ですからね。たしかに「憧れの場所」ではありますが、その場に行けないからといって悔しさこそあれ、残念に思う気持ちはありません。

中井 上杉さんが初めてマスターズ取材に行かれた際、オーガスタに足を踏み入れた瞬間に感動で目を潤ませ、その後なにかに取り憑かれたように物販コーナーでお土産を買い漁る姿が目撃されているのですが……。

上杉 おそらく他人の空似でしょう、それは。

中井 その年にマスターズ引退を表明していた南アフリカの英雄にして、「黒豹」あるいは「ブラック・ナイト」と呼ばれたゲーリー・プレーヤーに敬意を表し、全身黒一色の服を着用していた上杉さんを見間違うことはあり得ない気もしますが、まあ、そういうことにしておきましょう。

上杉 いずれにせよ、私も「ゴルフスウィング2.0」へとスウィングをアップグレードしましたからね。マスターズも大分近づいてきたことを実感しています。やっぱり手打ちじゃマスターズは無理ですもんね。

中井 少なくともマスターズ出場は厳しいですね。ただ、僕自身、決して「手打ち」自体を全面否定しているわけではありません。

上杉 ええっ、そうなんですか。あれだけ体で打て、体で打てってしつこくそればっかり同じことを言っているくせに。

"一理ある"手打ち理論と
ボディ理論の違いを理解しよう!

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前傾姿勢をとり、両手を真下に向けて伸ばし、開いた手のひらが地面と平行になるようにセットした状態で、腕を付け根から左右に回す。これが「腕の付け根を動かす」感覚
中井 僕の「体で打て」は、上杉さんの「記者クラブを開放せよ」みたいなもんで、ライフワーク的なテーマですからね。もちろん、体で打つのがもっとも効率が良く、体への負担が少なく、もっとも正確で、もっとも飛ばせる。この信念は揺るぎません。

上杉 手打ちはその反対側にある打ち方じゃないですか。

中井 その通りです。僕も、理論を構築する上で、かつては手打ちを否定しようと考えていました。しかし、それはやっぱり難しいんです。手打ちを推薦する理論も、たしかに一理ある。

上杉 しかし二理はない、と。「中井学、手打ちレッスンを全否定。『一理はあるが、二理はない』」といったところでしょうか。

中井 週刊誌の見出しみたいなことを言うのはやめてください。世にある手打ちレッスンは、必ずしも「手だけで振れ」と言っているわけではありません。前腕の左右への旋回運動を積極的に使って振り、それに伴って起こる体重移動は意識せずとも良い、というのがその主張です。

上杉 あれ、なにかに似てますね。

中井 ええ。僕の理論を極端に要約すれば、ボディの左右への旋回運動を積極的に使って振り、それに伴って起こる体重移動は意識せずとも良い、となります。もちろん、意識するのが腕なのか、ボディなのかというのは極めて大きな違いですが……。

上杉 で、それがどうして「一理ある」になるんですか。

中井 体力の落ちてきた70歳以上のシニア層や、運動経験がなく、力もない女性などには、腕のターンで飛ばす理論がハマる場合も、たしかにあるんです。それに、僕の理論は上杉さんがいい例ですが、しっかりとマスターすれば恩恵も大きいけれど、教えたその場で劇的に効果が出る、魔法のようなレッスンというわけではないですからね。だからこそ、「ゴルフスウィング2.0」なわけですけど。あとは「ローテーション問題」です。

上杉 先発投手を何人でやり繰りするか、といった問題ですね。私は元・野球少年で、ヤクルトスワローズのファンクラブにも入っていたくらいですから、この問題には関心があります。

中井 そうそう。右腕、左腕をバランスよく揃え、コマ数は5枚から6枚……ってプロ野球の先発投手のローテーション問題ではありません。フェースローテーションの問題です。説明すると、前腕のターンで球をつかまえる打ち方は、ローテ率が高く、スピードも速い。僕の理論では、腕の付け根、すなわち肩甲骨のスライドに伴ってアームローテーションが起こる打ち方なので、ローテ率が低く、スピードもゆっくりなんです。

上杉 フェースローテーションの量が多くて速いほうが飛ぶんじゃないんですか?

中井 そこなんですよ。先ほども言ったように、そのほうが感覚的に合う人もいます。しかし、肩甲骨のローテーションによって球をとらえるほうが、実際はインパクトゾーンでフェースをスクェアに戻しやすく、なおかつ当たりも厚くなる。体の捻転もより深くなるので、結果的には飛ばせるんです。

上杉 しかし、肩甲骨のローテーションと言われてもイマイチ感覚がつかめませんね。

中井 では、前傾姿勢をとり、両手を真下にピンと伸ばして、開いた手のひらが地面と平行になるようにセットしてみてください。手首を甲側に90度折って構える感じです。

上杉 はい。

中井 その状態で、肩甲骨を意識して腕を付け根から左右に回してみてください。

上杉 回しました。

中井 その感覚が、「肩甲骨のスライドに伴うアームローテーション」の感覚です。そして、肝心なのはこの動きは意識する必要がないってことなんです。なぜなら、ボディを左右に旋回させる動きでスウィングすれば、必然的に肩甲骨周りの筋肉の伸び縮みが起こり、それに伴ってアームローテーションが起こるからです。ただ、今やった運動はそれを感覚的に理解するためのドリルとして効果があるので、試してみてください。

上杉 なるほど~。

中井 今週はすっかり「座学」になってしまいましたが、このように、「手打ち」理論と「ボディ」理論の違いを理解しておくと、レッスンを選ぶ際の参考になると思います。どちらがいい、悪いとは言いません。ご自分に合うほうを選べばいいと思います。

上杉 少なくとも、私は「ボディ」のほうで驚異的な飛距離アップに成功しましたけどね。読者諸君、まあせいぜい悩んでくれたまえ。はっはっはっはっは。

中井 ああ、僕にもこれくらい言い切る心の強さが欲しい……。

 
ボディで振るか、手で振るか。手打ちに一分の理、あり。でもやっぱりマスターズを目指すにはボディじゃないといけません。というわけで来週も、目指せ、マスターズ!



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