僕のマグノリアレーン

2012.02.23

【第56回】
想像力がバーディを奪う。

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元ジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー・中井学の二人三脚レッスンドキュメント「僕マグ」。先週の「パー4」のマネジメントに引き続き、今週はパー5の攻略法です!

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ツアープロ向けの秘密レッスンを
中井プロが初公開!

上杉 いやー、盛り上がってましたね、ゴルフフェア(ジャパンゴルフフェア2012。2月17~19日の3日間、東京ビッグサイトで開催された)。はじめて会場に足を運びましたが、お土産はいろいろもらえるし、知り合いには会えるし、楽しかったです。

中井 たくさんの人に声をかけられていましたね、上杉さん。

上杉 ふふふ。「ゴルフジャーナリスト」あるいは「ゴルフ作家」としての認知が、だいぶ広がってきましたね。成田空港から直行した甲斐がありました。

中井 あ、そうだ。上杉さん、ルクセンブルグに行ってたんですよね。

上杉 欧州委員会とフランス原子力規制局が主催した国際会議にゲストスピーカーとして招かれたんです。原子力に関する国際会議からゴルフに関する見本市にユーラシア大陸を飛び越えてハシゴしたのは、おそらく史上初のケースです。

中井 「紅白」と「ガキの使い大晦日スペシャル」をハシゴするよりレアです、それは。それはそうと、僕が出演したシャフトメーカー・USTマミヤ主催のユーストリーム番組にも飛び入り参加していただき、ありがとうございました。

上杉 いえいえ、マルマンのドライバー&ウッドで「アッタス」シャフトは私も使っていますからね。お安い御用です。

中井 「僕が飛距離アップに成功したのは『僕のマグノリアレーン』のおかげではなく、『アッタス』のおかげです」と断言したときには、失神しそうになりましたが……。

上杉 まあ、いいじゃないですか、細かいことは。

中井 さくっと僕の存在意義自体を否定された気もしますが、まあいいか。よくないけど。気を取り直して今週は「パー5攻略法」をお話しします。

上杉 よろしくお願いします。

中井 先週、パー4のグリーン周りは、「ミドルアイアンで攻める」ことを前提に作られている、と言いましたよね。では、パー5の場合はどう設計されているのか。まずはそこを考えてみてください。

上杉 パー5は3打で乗せてパーオン。ほとんどのパー5は、3打目をショートアイアンで狙えますから、ショートアイアンで攻める前提で作られているってことですか。

中井 素晴らしい、模範的な解答です。そこから分かること、それは、パー5は3打で乗せることをまず考えるべき、ということです。ふたつで乗せることを考えて作られたパー5なんて、絶対にありませんから。

上杉 でもなあ~、やっぱり「届く」と思ったら攻めたくなるのがゴルファーのサガです。

中井 そこをグッとこらえるのがマスターズへの道です。よし、今日は特別に、上杉さん向けではなくツアープロ向けのスペシャルレッスンを初公開しましょう。

上杉 ええっ、本当ですか?

中井 ふふふ、本来は企業秘密なんですが、特別にお教えします。

上杉 まさか私とツアープロで教え方を変えているとは――。まさに二枚舌外交、20世紀初頭の英国外相のような男ですね、中井プロは。

中井 そこですか……。いや、上杉さんにもこうして教えるんだからいいじゃないですか。

上杉 仕方ない、よしとしましょう。

あなたのゴルフは、ロングボール中心の
イングランドサッカーになってないか?

056ティグラウンドから2打目、3打目を想像する。これがパー5攻略のカギだ!
中井 私が契約する選手に必ずやってもらうスペシャルレッスン、それは、「パー5で2オン狙い禁止ラウンド」です。

上杉 えっ。なんか、普通なんですけど。

中井 そう思えるでしょ。実はコレ、ツアープロにとってはものすごく難しいんです。

上杉 なんで?

中井 300ヤード級の飛距離を持つゴルファーにとって、パー5でのセカンドショットは、たいていの場合「無理すれば届く」か「届く」のふたつにひとつ。そこをあえて狙わないのは、上杉さんの言うゴルファーのサガ的に「難しい」んです。

上杉 ああ、なるほど。でも、それになにか意味があるんですか。

中井 この連載の読者は若い方が多いと思います。飛距離自慢の人もいるでしょう。そんな方々に僕からお願い。次のラウンド、すべてのパー5で2オンを狙わず、「3打目勝負」を前提にプレーしてみてください。絶対にゴルフ観が変わりますから。

上杉 私を無視して読者に話しかけるのはやめてください。

中井 失礼しました。当たり前のことですが、ゴルフは飛ばしを競うゲームではなく、ボールをプレースする、戦略的に「置く」ゲームです。たとえば上杉さん、453ヤードの打ち下ろしのパー5。風はフォローで、左右にOBはありません。ティグラウンドでなにを考えますか?

上杉 完全なるサービスホールですね。オーガスタでいえば15番というところでしょうか? まぁ最低でもパー、バーディで当然、あわよくばイーグルまで視野に入るホールです。とりあえず、ドライバーで280ヤードくらい飛ばして、オーガスタと同じようにセカンドで5番アイアン以下の番手を持ちたいところです。

中井 ……って、思っちゃうんですよ、ついつい。あえて説明を省きますが、そんな風に上手くいくことなんて、10回に1回あるかないか。ここが本日の最重要ポイントですが、パー5で重要なのは、飛距離ではなく、ショット力でもなく、アプローチ力でも、パット力でもなく、「想像力」なんです。

上杉 はあ。

中井 そして、想像力を鍛えるために、プロたちには2オン狙いを封印してもらうんです。そうするとどうなるか。450ヤードのパー5で3オンを狙うとしたら、300ヤード飛ばす意味がなくなるので、「どこに置けばセカンドが打ちやすいか」を自然に考えるようになるんです。

上杉 どういうことですか?

中井 ハザードに入れない、傾斜を避ける、3打目地点が狙いやすい、そういったことを考え出すんですよ。これがはじめから2オン狙いだととにかく飛ばす。おわり。って感じになりがち。想像力ゼロの、雑なマネジメントが習慣化されてしまうんです。

上杉 思考停止状態の記者クラブメディアみたいに?

中井 それは僕にわかりませんが……。とにかく、グリーンを狙うショットになってはじめて、キャディさんに「ピンポジどこ?」なんて聞いてちゃいけないんですよ、本当は。

上杉 ぎくっ。

中井 それに、ピンが右端に切ってあって、スライス系の球筋のほうが攻めやすかったら、たとえば3打目をサンドウェッジで打ったら逆に難しいですよね。だからあえて1打目、2打目と刻んで、ある程度距離を残すとか。ティグラウンドから想像力を働かせたほうが、ゴルフはやさしいし、なにより楽しいんです。

上杉 うーん、なるほど。ロングボール中心に攻める、かつてのイングランドサッカーではなく、より戦術的なヨハン・クライフのオランダサッカーみたいなもんですね。

中井 相変わらずたとえが古いですが、まあそうです。とにかく、どうすれば3打でピンを狙いやすいかを考える、ここがキモ。1打目ドライバー、2打目スプーン、3打目サンドでアプローチがいいのか。8番アイアンを3回打つのがいいのか。ユーティリティを2回打って、100ヤードをウェッジで攻めるのがいいのか。極端な話、それがベストだと思うなら、ティショットをサンドで打ったっていいわけです。

上杉 先週のパー4の攻め方にも通じるわけですね。同じクラブを続けて打つとナイスショットが続きやすいという――。

中井 その通り。これぞ、往時のオランダサッカーの愛称「トータルフットボール」ならぬ、「中井式トータルゴルフマネジメント」です。

上杉 言ってることは納得ですが、なんか怪しい会員権業者みたいな名前です。中井プロ、これはゴルフの連載です、もっと真面目に教えてください。

中井 せっかく、上杉さんの振ったサッカーネタにあわせたのに……。

 
というわけで、あわよくばバーディを奪いたいパー5。カギとなるのは想像力! ショットプランを想像しながらするゴルフは、スコアもさることながら、とっても楽しいもの。読者諸兄もぜひお試しを! というわけで来週も、目指せ! マスターズ!



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