僕のマグノリアレーン

2012.01.19

【第51回】
ダウンスウィング唯一のコツ!「がんばって、なにもしない」

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言した元・ジャーナリスト上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー中井学。二人三脚レッスンドキュメント「僕マグ」。ところでみなさん、今週の「週刊ゴルフダイジェスト」はチェックしてくれましたか?

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トップアマ・田村尚之さんの
「スウィングの設計理念」とは?

中井 読みましたよ、「週刊ゴルフダイジェスト」。

上杉 今週発売の号(1/31号)ですね。3年前に連載していた「がんばらないからうまくなった」でコンビを組んだ、スーパートップアマの田村尚之さんと、特集で久しぶりにご一緒しました。

中井 どうでした? 久しぶりに見た田村さんのスウィングは。

上杉 うーん、やっぱりすごいの一言です。普段もそうですが、コースに着いても一切練習もせず、いきなり超高弾道で300ヤード級の球を打ってきますからね。ゴルフ場を一歩離れるとただの酒好きの中年オヤジなんですが……。

中井 僕もトーナメントで何度も拝見していますが、素晴らしいスウィングですよね。

上杉 中井プロと田村さんって、意外と共通点があるんですよ。「スウィングは、右を向いて左を向くだけ」っていうところとか。

中井 表現こそ異なれど、言っていることはよく分かります。ところで上杉さん、なんで田村さんがあんなに飛ばせるかわかりますか?

上杉 そこが不思議な点なんだよな~。本当に一球も練習しないで、へらへらしながらティグラウンドに現れて、打つ直前までくだらないオヤジギャグを連発しているかと思ったら、いつの間にか300ヤード先のフェアウェイに球を運んでいるわけですからね。逆に質問ですが、なぜ田村さんはあんなに飛ばせるんでしょう?

中井 捻転より回転を重視し、遠心力を限りなく利用して飛ばす。おそらく、これが田村さんのスウィングの「設計理念」です。田村さんは、アドレス、テークバック、切り返し……すべてをその「設計理念」に従って行っている。それが理由ですね。

上杉 ふーん。遠心力といえば、たしかに、田村さんは「ハンマー投げのつもりでスウィングするだけ」ってよく言いますね。

中井 ハンマー投げとは、ヘッドに働く遠心力を最大限に活かして振る、ということでしょうね。遠心力を活かしているからこそ田村さんは飛ぶし、余計な動きをしないから、練習しなくてもアンダーパーで回れるわけです。そして、実は、私の身近にその真逆をやっているゴルファーの方がいます。

上杉 ええっ、本当ですか。まったく、仕方のないゴルファーですね。誰ですか? その男は。

中井 え~、大変申し上げにくいのですが、上杉隆さんという方です。

上杉 へ~、上杉隆さんという方……って、私じゃないかっ!

中井 ええ、残念ながら。いいですか、田村さんはスウィングこそ頑張っていませんが、「田村尚之」であることには全力を尽くしていると思うんです。他のプロの打ち方なんて一切参考にしない、あくまでも自分のやり方を守り抜く。それによって、「感覚」と「スウィング」を完全一致させているわけです。

上杉 それはたしかにそうかも。

中井 ところがどうですか? 上杉さんは? やれ、このバンカーショットは青木功さんでいこう、とか、ここは一発ノーマンで飛ばそう、とか、勝負どころではやっぱりセベだな、とか、毎回毎回打ち方が違うじゃないですか。

上杉 甘いですね、中井プロ。カラオケでは布袋寅泰さん、永田町では鈴木宗男議員、ラジオ局では山下達郎さん。私のモノマネレパートリーは、ゴルフ場に留まりません。うーん、それにしても、まさか私が非難される展開になるとは思ってもみませんでした。

ダウンスウィングでは、
煩悩、我欲を捨てましょう!

051考えていいのはトップからの切り返し(左)まで。ダウンスウィングが始まったら(右)何も考えない
中井 やっぱり、本気で上手くなろうと思ったら、「これが上杉隆のスウィングだ!」という、確固たるものを見つけ出す必要があるんですよ。要は、モノマネに費やしているエネルギーを、自分だけのスウィング作りに費やしてほしいんです。

上杉 反論のしようもございません。で、どうしたらいいんでしょう。

中井 そこで今週は、ダウンスウィングのお話をしたいと思います。上杉さん、ダウンスウィングってどういうイメージですか?

上杉 やはり、右ひじを体に密着させてタメををつくり、体の開きを抑えるとともに、右肩が下がらないように注意しつつ、腰を水平に回すようなイメージですかね。

中井 え~、そのようなイメージはすべて不要です。あれこれ考えるのをがんばるのではなく、「なにも考えない」ことをがんばってください。

上杉 なぬっ。「なにも考えない」ことを「がんばる」とは、一体どういうことですか?

中井 ダウンスウィングって、はっきりいって「神の領域」なんですよ。自分では絶対にコントロールできない。ダウンはわずか0コンマ数秒の動きですが、そもそも脳から神経に指令がいくまでに0コンマ2秒かかるわけですから、人間には絶対にコントロールできません。だから「ダウンスウィングのレッスン」なんて、本来存在しえないんです。

上杉 レッスンに意味がない。じゃあ、この連載自体、いや中井学の存在自体に意味がないじゃないですか。

中井 ……。あのですね、まあ、いいか。「なにも考えない」ことを「がんばる」。これこそが、唯一のレッスンなんです。はっきり言って、スウィングの成否はアドレス、バックスウィング、切り返しの3つでほぼ100%決まっているんです。ダウンでやることはただひとつ、遠心力を阻害しないこと。そのためには、「なにもしないこと」こと。実際、プロはダウンでなにも考えていません。そして、「なにもしない」ためには「なにも考えない」ことがとっても大事なんです。僕は、田村さんが「がんばらない」という真意はここにあると思います。

上杉 うーん、なるほど。じゃあ「考えてもいい」のは、どこまでなんですか?

中井 切り返しの瞬間までですね。体の回転が完了した状態(トップ)から、ヒップをほんの少しだけ、巻き戻す。そこでおしまい。あとは忘我の境地でOKです。飛ばしたい、ドローが打ちたい、曲げたくない、ナイスショットって言われたい、2オンさせたい、バンカーに入れたくない、すべて煩悩、我欲です。我欲を捨ててはじめて、上杉隆オリジナルのスウィングが立ち上がってくるんです。

上杉 我欲を捨てよ、ですか。石原慎太郎都知事のようなことを言う人ですね。ま、本人は我欲だらけのひとですが。……でも、言わんとしていることはなんとなく分かりました。

中井 そう、だからミスショットは天罰……じゃなくてダウンでなにか「細工」をしている証拠です。ダウンでなにも考えない。その上で球がどこに飛んでいくかを見る。それでも曲がる、飛ばないというのなら、アドレスやバックスウィング、アライメントや切り返しのタイミングを疑って、直すようにがんばればいいんです。

上杉 がんばるためにも、がんばらない。これが重要ということかぁ。

中井 そういうことです。

上杉 私は今、代表をつとめる「社団法人・自由報道協会」主催による、「第一回自由報道協会賞」の創設及び選考ならびに発表を目前に控え、準備に忙殺されていますが、そっちもがんばるのをやめたほうがいい、ということですね?

中井 そっちは全力でがんばらないといけない気がするんですけど……。

 
がんばる、がんばらない。スウィングを向上させるには両方ともに大切だ! みなさんも冬の間のスウィング作り、まずはダウンスウィングからはじめてみてはどうでしょう? ゴルファーよ、我欲を捨てよ! というわけで、都知事非公認ゴルフレッスンは来週も続きます。目指せ、マスターズ!



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