僕のマグノリアレーン

2011.12.22

【第48回】
「目線・ビハインド・ザ・ボール」の罠

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言したジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー・中井学。一年間のご愛顧に感謝して、二人三脚ゴルフレッスン、本年度最終更新!

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大幅な飛距離アップにも関わらず、
スコアが伸びない上杉の原因とは?

中井 早いもので、今回が2011年最後の更新です。上杉さん、一年おつかれさまでした。

上杉 こちらこそ、おつかれさまでした。

中井 もう年末ということで、いよいよ「あの日」が近づいてきましたね。

上杉 マスターズ委員会からの招待状が届く日――ですね。うーん、今年は「第一回セベ追悼コンペ」など、複数回の優勝を飾りましたから、「その日」がいつ来てもおかしくないと思っています。まぁ、主に新ペリア方式で行われたコンペばかりですが……。

中井 プライベートコンペの成績はワールドランキングに加算されません。「その日」ではなく、上杉さんのジャーナリスト休業の日(2011年12月31日)のことです。

上杉 ああ、「その日」ですか。たしかに、大晦日の「朝まで生テレビ」への出演を最後に無期限で休業します。なにしろ、私は2005年にジャック・ニクラスの引退を見届けにセント・アンドリュースを旅して以来、まとまった休みを一度もとっていませんからね。いや~、楽しみです。

中井 それで結局、いつまで休むんですか? 先だってのニコニコ生放送の特番では、3月11日、すなわち東日本大震災から一年の日をメドに復帰する、なんていう話も出ましたが――。

上杉 愚問ですね、中井プロ。それは、1番ティグランドで素振りをしている人に、「今日はいくつのスコアであがりますか?」と聞いているようなものです。

中井 たとえがよく分かりませんが、要するに「未定」ということですか?

上杉 そうとも言います。ただ、確かに言えることは、私がそう遠くない将来の4月の第2週の木曜日に、オーガスタナショナルの1番ホールに立っている、ただそれだけです。

中井 確かにと言えるかどうかはさておき、そうですね、そのためにも2011年度の最終レッスン、いきますか。

上杉 そうしましょう。それで、今日は何を教えてくれるのでしょうか。

中井 その前に上杉さん、この一年でドライバーの飛距離がものすごく伸びましたよね?

上杉 えっ? 今、なんと? ちょっと、聞き取れませんでした。

中井 上杉さん、飛ぶようになりましたよね、って言ったんです。

上杉 ええっ、私が石川遼ばりの飛ばし屋に変身したって? 中井プロ! それは事実ですが、さすがにちょっと言い過ぎではないでしょうか。

中井 はいはいそうですね(棒読み)。すごいなー、上杉さん(棒読み)。で、です。ドライバーの飛距離が劇的に伸びたのに、平均スコアはそこまで変化していない。これは何故なのかと考えたんです。

上杉 うーん、その指摘は耳が痛い。なにが原因なのでしょうか。

中井 この一年を振り返ると、上杉さんはドライバーが調子のいい日はアイアンがダメ。アイアンが好調な日はドライバーがダメ、というパターンがとても多い。上杉さんはもともと小技が上手ですから、このドライバーとアイアンの「格差」が平均スコアが伸びない原因です。

上杉 あ。言われてみるとたしかにそうかも。

中井 でしょ? これは余談ですが、上杉さんは「ドライバー不調、アイアン好調」の日のほうがスコアがいい傾向も見えてきました。ドライバーを曲げても、林の中や前方に木がある状況など、ピンチのときほど異常なまでの集中力が発揮されるという特徴がありますから。

上杉 私は本来、逆境に強い人間ですからね。いや、振り返ってみると我が人生、順風よりは逆風のほうが多かった。人生アゲンストですよ……まあいいや。で、その「格差」を是正するにはどうしたらいいのでしょう。

中井 いちばんは、頭の中身の構造改革です。上杉さんって、ドライバーではニクラスやセベのように強烈に頭を残した「逆C字」フィニッシュをとるイメージなのに、アイアンでは極端に上から下にクラブをブツけるダウンブローのイメージ、ふたつのイメージでスウィングしています。つまり、「アオリ」と「打ち込み」、相反する要素を併せ持つ、稀有なゴルファーなんです。

上杉 いや~、そうですか? へへへ、本当に?

中井 念のためお伝えしますが、誉めていません。とにかく、このドライバーとアイアンの格差を是正しない限り、マスターズは夢のまた夢のそのまた夢。上杉さんが30年かけて築き上げたスウィングイメージなので、そう簡単には直せませんが、今回はひとつだけ冬の課題をお伝えします。それは「目」の使い方です。

上杉 「目」。どういうことでしょう。

アオリ打ちを直すには適度な
「後頭部・ビハインド・ザ・ボール」

048頭を残し過ぎるとアオリ打ちになりやすい(左)。目線は残さず、後頭部を残すイメージ(右)がいいと言う中井
中井 前にも説明しましたが、上杉さんって「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」のイメージがすごく強いじゃないですか。前ほど過度ではありませんが、今でもそのイメージは強く残り、それが「アオリ打ち」の傾向を強めています。そこで、目の使い方なんです。

上杉 ボールをよく見ろ、ってやつですか。

中井 逆です。重要なポイントなのですが、上杉さんは頭を残そうと意識するあまり「目線・ビハインド・ザ・ボール」になってしまっているんです。

上杉 出ましたね、訳の分からない造語が。まるで原発事故の際に日本だけの造語『冷温停止状態』を連発した政府対応のようです。さては原子力保安院に洗脳でもされましたか?

中井 変な方向に話を持っていかないでください。で、その『目』って、体の前面についていますよね。そこを残そうという意識、つまり、よくいう「インパクト後までボールを見続けろ」という「目線・ビハインド・ザ・ボール」の意識で振ると、目がついている体の「前側」がスウィング軸になってしまうんです。そして、体の前側が軸になってしまうと、ギッタンバッコンのいわゆる「明治の大砲」、またはアオリ打ちになりやすく、前傾角度もキープしにくいなど、多くの問題が出るんです。

上杉 なに~、困るじゃないですか。

中井 上杉さんの場合、ボールどころか右足前くらいまで目線を残す感じですからね。さて、その直し方ですが、「目線」ではなく「後頭部」を残す意識、すなわち「後頭部・ビハインド・ザ・ボール」の意識で振ることを勧めます。

上杉 ……中井プロ、なんか、以前より適当になっていませんか?

中井 我が地元・奈良の大仏に誓って、僕は真剣です。「後頭部を残す」その意識で振れば、軸が背骨の外側になり、構えたときの前傾角度が維持された状態でスウィングすることができます。上杉さんのドライバーとアイアンの「格差」は、良くも悪くもその日のドライバーの調子によって決まりますから。ドライバーで後頭部を残すイメージで振れば、アイアンに悪影響が出ることもありません。

上杉 ふーん、そういうものですか。

中井 そういうものです。いずれにせよ「ボールを見続けろ」は、ゴルフを壊す誤ったイメージですから、読者のみなさまも、今すぐ忘れてください。「後頭部を残す」も、意識し過ぎては逆効果。あくまで、背骨側を軸に振るための一時的な処置であることを忘れないでください。

上杉 分かりました。これで年明けのゴルフは完璧ですね。

中井 いい報告を待ってます。来年の年末には、具体的なマスターズ挑戦へのプランを練っていたいですね、本当に。そして、読者のみなさんも、この連載を参考に、少しでもレベルアップしていただけたら、嬉しい限りです。

上杉 読者諸君、まあ、私のおこぼれで上達してくれたまえ。ははははは。

中井 最後は「目線」が「上から」になりましたね……。

 
というわけで、目線は「上から」もダメ! 「残す」のもNG! です。勇気を持って体で振れば、自然に後頭部が残ってヘッドが走る。みなさん、年末年始はよいゴルフを! 「僕マグ」は一週お休みをいただきます。それでは2012年も、目指せ、マスターズ!



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