僕のマグノリアレーン

2011.11.17

【第43回】
「目指せ! 松山くんの、体幹テークバック!」

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言したジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー・中井学。憧れのマグノリアレーンを目指して、今日も二人三脚レッスンがはじまります!

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上杉の最大のライバル(?)
松山英樹くんのスウィングを分析

上杉 いや~、凄かったですね、松山英樹くん。

中井 アジアアマチュア選手権連覇に続き、倉本昌弘プロ、石川遼プロに続く、史上3人目のアマチュアでのツアー優勝。内容も含めて、本当に素晴らしかったですね。

上杉 しかも、優勝した「三井住友VISA太平洋マスターズ」には、今年のマスターズチャンピオン、シャール・シュワーツェルも出場していましたからね。マスターズチャンピオンに勝ち、試合にも勝った。これは来年のマスターズも期待が持てますね。

中井 アマチュアとしての出場です、失うものはなにもありませんからね。来年も大暴れしてもらいたいです。

上杉 さらに彼は東日本大震災の被災地である宮城県の東北福祉大学に在学中。今年のマスターズの後は、避難所に牛乳を配達するボランティアをしていましたから、被災地にもいいニュースになりました。いや~、お見事。英樹カンゲキですね。

中井 カンゲキしたのは我々ですけどね……。それにしても、石川遼くんにとっても、ついに本当の意味でのライバルが登場したと言えます。青木・尾崎、王・長嶋、マー君・佑ちゃん。ぜひ、そういったライバル関係を築き上げてもらいたいです。

上杉 中井プロ、なにか勘違いしていませんか?

中井 えっ? だって、ふたりは同学年で、アマチュアでツアー優勝を果たしたという共通点もあります。それにふたりとも飛ばし屋で――。

上杉 違います。松山英樹をもっともライバル視しているのは、遼くんではなく、この私です。

中井 あっ、そうか。松山くんがプロ転向しない限り、基本的には松山くんに勝たないとマスターズに出られませんもんね、上杉さん。

上杉 そういうことです。というわけで、早速松山くんのスウィングを分析してください。

中井 どうしてですか?

上杉 松山くんのスウィングを分析し、それを参考にすることで、私にもマスターズ出場のチャンスが巡ってくるからに決まってるじゃないですか。

中井 なるほど……なんというか「今までのレッスンはなんだったんだ感」がなきにしもあらずですが、松山くんのスウィング分析は面白いですね。

上杉 まず参考にするべきは、宮里藍プロを参考にしているという「ゆっくりテークバック」ではないかと思うのですが――。

中井 ああ、アレは上杉さんには真似できません。

上杉 なっ。いきなりマスターズへの道が遠ざかりました。どうしてですか?

中井 彼は日本ツアーの残り3試合への出場も表明していますから、テレビでじっくり観てもらえれば分かると思うのですが、松山くんって、スウィング以外のひとつひとつの動作がすごくゆったりしているんですよ。それに対して上杉さんは、基本的にせっかちですよね?

上杉 それは否めません。しかし、それは性格的な問題じゃないですか。

中井 実はこれがゴルフにも関係するんです。たとえば、せっかちで普段から歩くのも速い人は、「下半身を速く使う」ことに慣れています。そういう人がスウィングだけゆっくりにしようとしても、上手くいかないんです。

上杉 な~る~ほ~ど~ね~。

中井 話し方を急にゆっくりにしても無駄です。ただ、もちろん参考になる部分もあります。多くの人は、彼のゆっくりテークバックを見て、「テンポ」にだけ注目してしまいます。しかし、本質はそこではありません。彼の「体幹テークバック」にこそ、注目すべきなんです。

上杉 なんですか? 「体幹テークバック」って。

「つま先下がり」でショットで
体幹テークバックを身につけよう!

043テークバックで右ひざを動かさないのが現代のスウィングの主流と中井は言う
中井 松山くんの場合、ワイドスタンスで下半身、とくにひざから下を安定させて骨盤を旋回し、次に背骨周りの筋肉を捻転させて上下の捻転差を生んでいます。その間、手は一切使っていません。体をゆっくり使い、意識を体幹に集中させることで、この一連の動作を正確に行っている。つまり、彼のテークバックの本質は、「ゆっくり」ではなく、「下半身を安定させて、手を使わずに上体を捻転させる」ことにあるんです。これが、「体幹テークバック」です。

上杉 「ゆっくり」はそのための方法論に過ぎないってことか~。

中井 その通り。さて、もっとも注目してもらいたい点、それは、ズバリ右ひざの使い方です。松山くんに限らず、石川遼、ローリー・マキロイ、リッキー・ファウラーといった、これからのゴルフ界を担う若手たちは、テークバックで右ひざの位置・高さがまったく変わらないんです。これにより、上下の捻転差を生み出し、圧倒的な飛距離につなげているわけです。

上杉 そして、それは私にも共通する点、というわけですね?

中井 ……残念ながら、違います。そうなんだよな~、そこなんですよ。テークバックで浮いちゃうんです、上杉さんの右ひざ。これによって上体が浮いて、ダウンで突っ込む動きになってしまうんです。

上杉 ちょっと! なんでそんな大事なことをいまさら言うんですかっ。

中井 ほかに直さなくちゃいけない点がたくさんあったので……まあ、今からでも遅くはありません。いずれにせよ、このように右ひざを動かさない打ち方は、2010年代、間違いなく世界の主流になるスウィングです。

上杉 昔の選手はひざを大きく動かしたものですけどね。新井規矩雄さんとか。

中井 昔と今ではクラブが違いますからね。ひざを動かすと、基本的に体は旋回しやすくなります。対して、ひざの位置をキープすると、体は捻転しやすくなるんです。昔のクラブは重かったですから、体を旋回して体重を乗せてクラブをボールにブツける打ち方が飛ばせた。対して、今のクラブは軽いですから、体を捻転させ、クラブを走らせる打ち方が飛ばしの秘訣になっています。

上杉 へ~。ではその打ち方をレッスンしてください。

中井 簡単ですよ。「つま先下がり」から打てばいいんです。

上杉 それだけ?

中井 それだけ。

上杉 なんという手抜き、なんという怠慢レッスンでしょうか。

中井 人聞きの悪いことを言わないでください。その効果を説明する前に、上杉さん、前足下がりから打つとき、飛距離は落ちますか?

上杉 そりゃ、平地に比べれば落ちるでしょう、当然。

中井 それは、「体幹テークバック」が出来ていない証拠です。前下がりで、プロは絶対に番手を上げません。スタンスをワイドにとり、腰を沈めて、手元がひざくらいの高さにくるような構えになったとしても、しっかりと下半身を固定して上下の捻転差が作れれば、前下がりはヘッドが走る分、飛距離は変わらないか、かえって飛ぶはずなんです。

上杉 むむむ。そうなんですか。

中井 前下がりって、実はこの体幹テークバックができているかどうかのリトマス試験紙なんです。

上杉 でも、練習場に前下がりのライなんてないじゃないですか。

中井 超ワイドスタンスに構えて、腰を落として重心を低くして練習しても、同じような効果がありますよ。もちろんその際、右ひざの位置はキープです。

上杉 はっはっは。

中井 突然どうしたんですか、上杉さん。

上杉 はっきり言って、松山くんはもはや丸裸の状況です。私が追い付き、追い越すのも時間の問題と言えます。

中井 残念ながら、松山くんにはまだまだ素晴らしい点が多数あります。

上杉 なっ……。まだあるんですか。

中井 しかも、それらすべてが未完成で荒削り。これからさらに強くなるポテンシャルを秘めています。

上杉 未完成、という点は共通してるんですけど……。

 
松山くんの飛ばしの秘訣は「右ひざ」に隠されていた! これは、今すぐ練習場に行くしかありません。追いつけ、追い越せ、松山くん! ということで来週も、目指せ、マスターズ!



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