僕のマグノリアレーン

2011.11.10

【第42回】
「真っすぐの球がまだ打てない」

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言したジャーナリスト・上杉隆とそれをサポートするプロゴルファー・中井学の二人三脚ゴルフレッスンドキュメント。今週は先週に引き続き、ティグラウンドでのショットマネジメントのお話です。

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ニクラスの言葉に学ぶ
ショットマネジメント

中井 さて、今週は先週の続きです。ということで、先週のおさらいをしておきましょう。上杉さん、お願いできますか?

上杉 了解です。2015年のアジアアマチュア選手権、最終日最終組。首位タイで18番グリーンを迎えた日本のウエスギ選手が、見事バーディパットを沈め、翌年のマスターズ出場を決めた――というところまで、でしたね?

中井 「でしたね?」じゃないですよ。全然違います。

上杉 あれ、そうでしたっけ?

中井 そうです。先週私は、先日のラウンドで調査したところ、上杉さんはフェアウェイキープ率が36%、パー3での平均スコア4.25と、極端に悪かった。それはつまり、「ティショットが下手」ということだと指摘しました。

上杉 だんだん先週の不愉快な思い出が甦ってきました。

中井 なぜティショットが下手なのか。その理由は、練習場と同じようなライで打てるからこそ、ターゲットや球筋をイメージすることが疎かになり、スウィングのことばかり考えてしまうから。というわけで、今週は以上を頭の片隅においた上で、実際にボールを打ってもらおうと思います。

上杉 スウィング「だけ」を考えるのではなく、ターゲット→球筋→スウィングの順で考えるんですよね。

中井 正解です。落としどころを設定し、そこに運ぶために最適な球筋を思い描き、その球筋を実現するためのスウィングをリハーサルして、本番に臨む。このルーティンをきっちり守れば、ティショットのミスは激減するはずです。

上杉 了解です。ここは152ヤードのパー3。ピンはグリーンのほぼセンター。風もありません。受けグリーンですからピン手前がベスポジですね。ということは――。

中井 いいですね。そのように状況を見極めることで、ナイスショットの確率はぐんぐん高まっていきます。

上杉 よし! ピンの50センチ手前に着地したボールがワンバウンドしてカップに飛び込むイメージができました。そのために必要な球筋は、完全なるストレートボールしかありません。いつも通り完璧に美しいスウィングをすればOKですね。では、打ちます。

中井 ちょっと待ったーッ!

上杉 中井プロ、人がアドレスに入っているのになんて声を出すんですか。いいですか、同伴者のアドレス後は物音を立てない。これはゴルフマナーの基本です。プロゴルファーの、いやゴルファーの風上にも置けませんね。今週の「週刊ポスト」に掲載された、上杉隆責任編集「『うまい』と『モテる』でゴルフが100倍楽しくなる」という記事の購読を勧めます。

中井 「うまい」と「モテる」ですか……なるほど。ともあれ上杉さん、今のイメージではミスショット確実です。

上杉 なんてことを言うんですか。イメージしろって言ったからイメージしたのに。国政選挙の出口調査じゃあるまいし、確実なことなどこの世にはありません。

中井 かの帝王、ジャック・ニクラスはこう言っています「真っすぐの球が、まだ打てない」と。

上杉 えっ? 「まっすぐな道でさみしい」?

中井 それは、漂泊の俳人・種田山頭火の自由律俳句です。ともかく、物理的に考えて、インパクトしたボールにはスライス、またはフックの回転が多かれ少なかれ必ずかかります。それなのに、ストレートボールのイメージしかないと、ちょっと当たり損ねただけで、左右どちらのミスも出る危険性があります。

上杉 むっ……中井プロはともかく、ニクラスの言うことなら傾聴せざるを得ません。

中井 凄い悲しいことを言われた気もしますが、まあいいや。とにかく、ストレートではなく、スライスまたはフックで狙えばミスの方向は片方に限定できますし、スウィングイメージも湧きやすくなります。これぞ、「左右のスピンコントロール」です。

上杉 左右のスピンコントロール。また変な言葉が出てきましたね。

「意図と意思のあるショット」が
オーガスタ攻略には必要だ!

042ショットマネジメントの重要なカギは「左右のスピンコントロール」と語る中井プロ
中井 ボールにどれだけのスライス回転や、フック回転をかけるか。ターゲットを狙うに当たり、そのイメージはもの凄い大切なんです。たとえば、オーガスタの16番は右から左に傾斜があり、最終日にはグリーン左サイドにピンが切られますよね? だから、みんなフェードで右の傾斜に当て、そこから惰性で転がし寄せる戦略をとるんです。あのピン位置では、ドロー回転のボールでピンを直線的に狙うことは不可能ですから。

上杉 なるほど。たしかにあのピン位置はドローでは狙いにくいですね。左には池があるし。

中井 でしょ? 16番のように、縦方向のスピンだけでなく、横方向のスピンもコントロールしなくては戦えないホールが、オーガスタにはたくさんあります。だからこそ、まずイメージをしっかり作ることが大切なんです。

上杉 そうか、ではこのホールはグリーン右が崖になっていて絶対に避けたいから、ワンピン右からドローで狙います。いいですか?
中井 完璧です。上杉さんのスウィングは、フェースターンを多めに使い、ヘッド・ビハインド・ザ・ボールの度合いが強いタイプ。もともとドローボールヒッターの要素を多く持っていますから、基本的にはドローで狙うのがいいでしょう。そのとき、もうひとつものすごく重要なポイントがあります。

上杉 なんでしょうか。

中井 絶対に、「逆球」を打たないことです。つまり、この場合ドローで狙うわけですから、スライスだけは打たない。右に打ち出して右に曲がったら、最悪ですからね。

上杉 と、いわれてもスライスするのが世の常ですが……。

中井 たしかに。そうだなあ、上杉さんの場合、バックスウィングだけ注意してください。しっかり振ろうとバックスウィングで手の運動量が多くなり過ぎると、インパクトで手がボール方向に流れてフェースが開き、スライスになりがちですから。なるべく体を使ったコンパクトなバックスウィングをすること。これで逆球は防げるはずです。

上杉 了解です。では、打ちます。とりゃっ(と、打つ)。あ~、逆球を怖がって、ちょっとドローがかかり過ぎた。グリーンの左サイドになんとかへばりついた形です。

中井 まったく問題ありません。もし、最初に思い描いた通りにピン真っすぐを狙っていたら、左のバンカーまで転がり落ちていましたし、仮に逆球のスライスが出たら、右の崖下に落ちてパーの可能性はほぼ消えていました。あそこからなら十分パーが取れる。そしてなにより大切なのは、今の一打がしっかりとショットマネジメントがされた、意図を感じるショットだったことです。

上杉 うーん、そう言われると悪い気はしませんね。

中井 飛んだ飛ばない、寄った寄らないを結果論だけで語っている内は、厳しいようですが上達は望めませんからね。いかに一打一打に意図と意思を込められるか。その積み重ねの先に、マグノリアレーンが待っているんです。

上杉 あんまり待たせちゃ悪いですからね。なるべく早く辿りつけるよう頑張ります。2026年くらいまでに。

中井 なんか、目標のマネジメントが下方修正されているんですけど……。

 
スウィングの前にターゲット意識と弾道イメージありき。改めて言われると、たしかにその通り。みなさんも週末のゴルフはイメージ力で勝負してください! というわけでまた来週。目指せ、マスターズ!



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