僕のマグノリアレーン

2011.11.04

【第41回】
ティグラウンドに潜む罠

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言したジャーナリスト・上杉隆と、なぜかそれをサポートすることになったプロゴルファー・中井学。ゴルフ界の異色タッグが送る、ゴルフレッスンドキュメント!

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上杉隆に疑惑が浮上!
本当にゴルフが上手いのか?

中井 突然ですが、最近、周りの知人・ゴルフ関係者・生徒さんなどから「上杉さんは本当にゴルフが上手いのか」と聞かれる機会が多くあるんです。

上杉 なるほど。私もゴルフジャーナリストとしてのキャリアを積み重ね、ゴルフに関する著作も出しましたからね。ゴルフ界の注目の的、ということでしょうか。

中井 まあ、そういうことでしょう。

上杉 それで、なんと答えているんですか? 「彼はマスターズ出場どころかグリーンジャケットを狙うレベルのゴルファーだ」が模範解答ですが――。

中井 ……いちいち答えるのも面倒なので、今日は上杉さんのラウンドデータを発表し、それぞれに判断してもらいたいと思います。

上杉 ラウンドデータ。なんですか、それ? 私はラウンド中に細かくデータなどつけていませんが。

中井 実は、先日一緒にラウンドした際、ひそかにパーオン率、フェアウェイキープ率などを調査しておいたんですよ。これで、上杉さんの「真の実力」が白日の下にさらされます。

上杉 私の知らないところで勝手にそんなことをしていたとは……。プライバシーの侵害、個人情報保護法違反ですね。

中井 あくまで取材の一環、マスターズを目指す取り組みの一環です。では発表します。まずフェアウェイキープ率が36%。続いてパーオン率、56%。パット数、35。パーオン時平均パット数、2.1。パー3の平均スコアが4.25。パー4が4.6。パー5が5.0。スコアは2バーディ、10ボギー、1トリプルボギーで、83。無論、このスコアではマスターズで戦えません。

上杉 その日のコンペでは見事優勝したんですが――。

中井 マスターズは「新ペリア方式」の競技ではありません、念のため。季節はこれから長くて寒い冬、上杉さんがマスターズに出場するアゼリア咲き誇る春は、いったいいつ訪れるのだろうか。

上杉 そういう詩人みたいな嫌味は不要です。うーん、しかしこうやってデータを見ると、問題点が浮かび上がってきますね。35パットもしているのか~。

中井 総パット数もさることながら、パーオン時平均パット数も2.1はいただけませんね。プロの世界では、パーオン時平均パット数が1.7台でシードクラス。逆に、1.8台ではメシが食えない、なんて言われますから。

上杉 あれはグリーンが遅すぎたため。オーガスタくらい早ければ1.6台は……。

中井 言い訳にしては酷すぎますね。

上杉 いや、私のパッティングはオーガスタ仕様ですから。まあ、でもよし、じゃあ、そこまで言うのならば、今日は練習グリーンで特訓しましょう。あるいは長く使った愛用パター、オデッセイのホワイトホット#1を手放すことにもこの際、躊躇はありません。

中井 パターのせいではありません。そして、今回テーマに挙げたいと思うのは、実はパットではないんです。

上杉 どうしてですか? パット数には明らかな問題が見られるじゃないですか。

中井 それは、技術的な部分で解決可能です。僕は、このデータからは上杉さんの「本質的問題」が見えると思っているんです。

上杉 本質的問題、ですか――。たしかに、私は人からよく「マジメにやれ」とか「ふざけるな」とか「遅刻するな」とか「本当にしっかりしてください」などと言われますが、それとゴルフになんの関係が?

中井 そういった人格的な問題はこの際おいておきましょう。ポイントは、フェアウェイキープ率、パー3平均スコアの2項目です。

上杉 ああ、たしかにどちらも良くないですね。ということはショット練習ですね。よし、練習場に行きましょう。場合によっては特に気に入っているマルマンのコンダクターLXドライバーを手放すことも視野に入れざるを得ません。ああ、泣いて馬謖(ばしょく)を斬る。

中井 馬謖は斬らなくていいです。そして練習場に行く必要もないんです。ちょっとティグラウンドに移動しましょう。
※カートに乗ってパー3ホールのティグラウンドへ――

スウィングを考える前に
ターゲットと球筋を意識せよ!

041ティショットに、上杉の本質的問題があると中井は指摘する
中井 さて、データから見える上杉さんの本質的問題を発表します。それは――ズバリ、「ティショットが下手」です。

上杉 ガーン。ひどいことを言いますね、中井プロ。それではなおさらショット練習を、ショット練習をしなくちゃダメじゃないかっ。

中井 すねなくていいです。話は最後まで聞いてください。あくまで「ティショットが下手」であって、「ショットが下手」とは一言も言っていません。むしろ、上杉さんのショット力は確実にアップしていることが、データから見て取れます。

上杉 えへへ。本当に?

中井 照れなくていいです。上杉さんのフェアウェイキープ率は36%と非常に悪い。しかし、パーオン率は56%と、フェアウェイキープ率の割に決して悪くない。つまり、ティショットのミスをセカンドやサードショットで挽回できているわけです。

上杉 たしかに。その日はラフや、時には林の中から大きく曲げてオンさせたりもしました。

中井 つまり、上杉さんはピンチになればなるほど集中力が研ぎ澄まされ、いいショットが打てる。それだけのショット力を持っているんです。逆に、ティグラウンドの平坦なライに立つと集中力が瞬時に失われてしまう。それがフェアウェイキープ率36%、パー3の平均スコア4.25という残念な数字となって表れているわけなんですよ。

上杉 ガーン。でも、どうしたらいいんですか? 「もっと真剣にやれ」と子どもの頃から言われ続けているわけですが――。

中井 上杉さん、ティグラウンドで何を考えていますか?

上杉 ティグラウンドは練習場と同じ状況ですからね。教わった通りの最高のスウィングから繰り出される完璧な結果を成し遂げる、それだけを考えています。

中井 それは悪いことではありません。しかし、ティグラウンドに立つと、上杉さんはスウィングにばかり意識がいって、肝心のターゲット意識と球筋意識が薄くなってしまうんです。実はこれは、ほとんどのアマチュアゴルファーにも当てはまります。読者のみなさんも胸に手を当てて考えてみてください。ティグラウンドでしっかりとターゲット意識、球筋意識を持っていますか?

上杉 うーん、痛いところをつきますね。でもたしかに、林の中からフックでグリーンを狙うときには、どこに打ち出して、どのように曲がって、グリーンのどこに乗せるかまで、明確にイメージしてから打っている気がします。

中井 でしょ? それがあるから、ショットが成功するんです。いいですか、上杉さん。ティグラウンドでは、まず「ターゲット」。次にターゲットに運ぶための「球筋」。最後にそのための「スウィング」の順で意識を集中してください。

上杉さんをはじめ、多くのアマチュアは、「ターゲット」「球筋」が抜け落ちて、いきなり「スウィング」になってしまう。これでは成功するショットも成功しません。

上杉 うーん、なるほど。ショットじゃなくて意識の問題ってことですね。

中井 そうそう。それが、「コースマネジメント」の前にある、1打1打に必要な「ショットマネジメント」です。この話はもっと詳しくしたいので、次週に続きます。読者のみなさん、ひとまず週末のゴルフはスウィングだけでなく、ターゲット、球筋の意識もしっかり持って、ショットに臨んでくださいね。

上杉 分かったかな? 読者諸君。スウィングばっかり考えていてはいけないのだよ、ハハハ。

中井 なんでそこだけ上から目線なんですか……。

 
というわけで、この話は続きます。中井プロいわく、ティショットのミスの原因はスウィングではなく意識の問題であることも多々ある、とのこと。耳が痛い! というわけで来週も、目指せ! マスターズ!



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