僕のマグノリアレーン

2011.10.27

【第40回】
パットを決める、ふたつの「感」

僕のマグノリアレーン

「マスターズを目指す!」そう宣言したジャーナリスト・上杉隆と、それを(成り行きで)サポートすることになったプロゴルファー・中井学によるゴルフレッスンドキュメント。今週はパッティングについて!

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美人プロとラウンドした上杉が
「取材結果」を報告!?

中井 上杉さん、週末に素敵な方とラウンドしてましたね。

上杉 なぜそれを知っているんですか! いいですか、中井プロ。ストーカー行為は法律により禁じられ、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金の可能性があります。

中井 誤解です。なんで僕が上杉さんをストーカーしなくちゃいけないんですか。ただでさえ忙しいのに。twitterで見たんですよ、twitterで。

上杉 恐ろしい世の中ですね。プライベートまで暴かれてしまうなんて……。

中井 つぶやいたのはご自分です、念のため。ともあれ、東尾理子プロとラウンドしたんですよね。

上杉 いや~、バレたか~。

中井 日本中、いや世界中にバレてます。

上杉 そうでした。それにしても理子さんは素敵だった! 決してハードヒッターではないのですが、スウィングのリズムが実に素晴らしく、シルエットも綺麗。それに、アプローチとパットの上手さといったら――。

中井 決して飛ばし屋ではないからこそ、ショートゲームを磨きに磨いたんでしょうね。

上杉 残り40ヤード圏内からは、すべて寄せワンでしたからね。まあ、飛距離は私のほうが20~30ヤードは飛んでいましたけど。ふふふ。フェアウェイじゃないけど……。

中井 で、スコアはどうだったんですか?

上杉 惨敗です。

中井 まあ、プロ相手ですからね。ただ、マスターズを目指すと公言している上杉さんとしてはちょっぴり寂しい結果です。

上杉 いいんですよ、そんなことは。いいなぁ、理子さん。ゴルフが上手い、喋りが上手、気遣いが上手。三拍子揃っていて、石田純一さんが惚れた気持ちがよく分かります。えへへ。

中井 いったいなんですか、その照れ笑いは。ともあれ、せっかくプロとラウンドしたんだから、何か教わりましたか?

上杉 中井プロ、私の職業はジャーナリストですよ。ただヘラヘラしながらラウンドしていたわけではありません。しっかりと「取材」することも忘れはしませんでした。

中井 おっ、さすがですね。何を取材してきたんですか?

上杉 理子さんは米女子ツアーに参戦していたんですが、米女子ツアーの選手は、マスターズ期間中、オーガスタに入ることができるそうなんです。関係者として。

中井 はあ。

上杉 しかし理子さんは、その権利を行使せず、まだオーガスタに足を踏み入れたことがないそうなんです。そこで私がしっかりとレクチャーしておきました。マグノリアレーンを抜けたときの感動、一面の緑の芝、どこまでも高いパインツリーとその先に広がる青く高いジョージアの空――。

中井 取材と見せかけて自分の主張を述べる、どこかの新聞の記者のようなことをしている場合ではありません。

上杉 なにを言っているかわかりません。そして、実はパットのストロークに関しても取材済みです。理子さんのストロークはとにかくゆっくり静かで、それでいて実に正確なんですよ。その秘密を聞いたら、「テークバックからインパクト、フォローまで、つねに一枚のコインがパターヘッドに乗っていて、それが1ミリも動かないイメージで振っている」と言っていました。

中井 なるほど~。それはいいイメージですね。

上杉 ところが僕の使っているパターはピンのアンサー型なので、コインが上手く乗らないんですよね。それで困っているんです。マレット型に替えたほうがいいでしょうか?

中井 それではあくまでイメージの話です、上杉さん! しかし、この一言からでも、理子プロが「距離感」と「方向感」のふたつをしっかりと切り離して考えられていることがよく分かりますね。

上杉 ん? なんですか、「距離感」と「方向感」って。

中井 要するに、パッティングの2大要素である「タッチ」と「ライン」のことですよ。それを僕は、「距離感」と「方向感」と呼んでいるんです。

上杉 面白そうな話じゃないですか。詳しく聞きましょう。

「距離感」と「方向感」は
分けて考えよう!

040アドレス前は「方向感」、構えたら「距離感」と分けて考えることが大切と、中井は言う
中井 たとえばこの4メートルのフックライン。ちょっと上杉さん、打ってみてください。

上杉 はい。あー、カップの右を抜けて1メートルもオーバーしてしまった。

中井 今のが、「距離感」と「方向感」の区別が出来ていない状態です。

上杉 また私が「悪い例」ですか……。

中井 致し方ありません。今、上杉さんはフックラインを意識し過ぎて、右に押し出すようなストロークを無意識にしていたんです。その結果、無用なパンチが入り、オーバーしてしまった。つまり、「コインが落ちる」ストロークになっていたんです。

上杉 むむむ。言われてみると、たしかにそうかも。

中井 大切なのは、「方向感」はアドレス前、「距離感」は構えてから作るものと、分けて考えること。それには、人間の目の機能が大きく関わっています。

上杉 どういうことですか?

中井 野球の外野手って、半身の状態でボールを追いかけるじゃないですか。あれってなんでだと思いますか?

上杉 私は地元の友人と結成した草野球チームで、新宿区の大会で優勝した経験を持つ男ですよ、中井プロ。もちろん、そのほうが距離感をつかみやすいからでしょう。

中井 上杉さん、野球もやってたんですね……。まあいいや、正解です。体を半身にした状態、つまり、目が対象に対して正対ではない状態のほうが、距離感を測りやすいんです。一方、目が対象に対して正対している状態だと、今度は傾斜などを見極めやすくなるわけです。

上杉 なるほど。だから、目を目標と正対した状態、つまり打つ前に方向を決め、構えた後に距離感をつくるわけか。

中井 そうそう。そして、先ほどの上杉さんのように、そのふたつを一緒に行ってはいけないんです。単に脳を混乱させるだけですからね。方向は構える前に決める。そして、決めた打ち出し方向に対して真っすぐに構えたら、あとは距離感しか考えない。これが重要なんです。

上杉 なるほど。

中井 理子プロが「イメージ上のコインを動かさない」意識でストロークするのは、構えた後に余計なことを考えないための、ある種のスイッチの役割を果たしてもいると思いますね。ストロークを安定させる効果があるのはもちろんですが。

上杉 そうだったのか――。理子さん、そんな大事なことを隠すなんて、ひどいですね。だまされたッ。

中井 単純に聞かれてないだけなんだと思いますが……。まあ、もう1球打ってみましょうか、さっきの4メートルのフックラインを、本番の気分で。

上杉 本番というと、2016年のマスターズ、ニッポンのウエスギ選手が最終日、18番で4メートルのバーディパットを沈めればアジア人として初のマスターズ制覇を達成、という場面ですね?

中井 えーと、じゃあ、それでいいです。

上杉 まずはボールの後ろからですね。よし! 方向感、すなわちラインはカップをギリギリ外さない程度と決めました。構えたらラインのことは忘れて距離感だけを考えて――(2、3素振りをくれた後、打つ)。
※ボールはライン上を勢いよく転がってカップ際で減速。カップの淵で止まりそうになるが――
上杉 (左手を上げてパターを高々と掲げる)

中井 ナイスイン!

上杉 マスターズ出場の際は、理子さんにキャディをやってもらおうっと♪

中井 おいおい。

 
というわけで、今週はパッティングのお話でした! オーガスタのガラスのグリーンを攻略するためには「方向感」と「距離感」を分けて考えるのは必須。もちろん、週末のラウンドにもすぐに役立つゴルフの知恵です。ぜひ、お試しを。来週も、目指せ、マスターズ!



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