僕のマグノリアレーン

2011.09.15

【第34回】
アイアンショットでぶっ飛ばせ!

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指す! そう宣言したジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー・中井学。夢かうつつか、本気か冗談か、その辺が曖昧なまま突っ走る、二人三脚ゴルフレッスンドキュメント、今週はアイアンで飛距離アップする秘訣!

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大幅にドライバーの飛距離を
伸ばした上杉だが、アイアンは……。

上杉 とりゃーっ!

中井 ああ~、上杉さん、いつもの悪いクセが出ましたね。今のティショット、手が“悪さ”をして、左に引っ掛けてしまいました。

上杉 うーん、無念。なかなか上手くいきませんね、ゴルフは。日本におけるジャーナリズムと同じで。

中井 日々の地道な努力がゴルフを上達させる一番の近道であるように、日本にもいつかホンモノのジャーナリズムが根付く日が必ず来ます。上杉さんの尽力はいつか必ず身を結ぶ、僕はそう信じています。

上杉 今年の年末でジャーナリストは休業しちゃいますけどね。

中井 あ、そうか。

上杉 まあ、ゴルフは休業しませんから、来年からはさらに本格的にマスターズを目指す所存です……なんて言ってるあいだに2打目地点にやって参りました。どこまで行ったかなぁ、1打目。

中井 ――上杉さん、ツアーステージの2番ですよね?

上杉 いかにも。ありましたか?

中井 ええ。でも残念。OBではありませんでしたが、木が邪魔で、2打目はフルスウィングできませんね。

上杉 うーん、たしかに。(素振りしながら)バックスウィングはできるけど、フォローがとれない。仕方ない、ヨコに出します。

中井 ちょっと待った! 上杉さん、これはチャンスですよ。

上杉 どこがチャンスなんですか。まともに打ったらフォローでアイアンのシャフトが木に当たり、ことによるとシャフトが折れてヘッドが私のヘッド(頭部)を直撃、大惨事になる可能性もあります。中井プロは僕に死ねというのかっ!

中井 そんなわけないじゃないですか。僕が言いたいのは、これは上杉さんが苦手な「アイアンで飛距離を出す」コツを身に付けるのに最適な状況だということです。

上杉 なんと。どういうことでしょう。

中井 そもそも、上杉さん最近ドライバーがすごい飛ぶようになった割に、アイアンの飛距離はさほど伸びていませんよね?

上杉 それは言えますね。ドライバーの飛距離がこの1年弱で50ヤードくらい伸びたのに対し、アイアンはせいぜい一番手伸びたくらいです。まあいいんですけどね、ドライバーが50ヤード伸びたから。ふふふふふ。では、ヨコに出します。

中井 あの~、上杉さん。そこでヨコに出したら連載が成り立ちません。

上杉 なんでですか。ここで無理に攻めたら、今日の僕のスコアが成り立たなくなる危険性があります。

中井 スコアも大事ですが、それじゃ僕がレッスンできないじゃないですか。

上杉 あ、そうか。そういえば、「僕マグ」はレッスン連載でしたね?

中井 「でしたね?」じゃないですよ、まったくもう。ほら、レッスンをはじめますよっ。

上杉 よろしくお願いします。

中井 なぜ、ドライバーの大幅な飛距離アップに対し、アイアンの飛距離アップは小幅に過ぎないのか。それにはアイアンならではの打ち方の秘訣を、上杉さんが身に付けていないことが理由として挙げられます。それは、「ハンドファーストインパクト」です。

上杉 ハンドファースト。どういうことでしょう。

中井 アイアンショットでは、インパクトでヘッドよりグリップが先(ターゲット方向)にある状態、すなわちハンドファースト状態になっていることが望ましいんです。そうすることにより、アドレス時よりもロフトが立ち、力強い弾道になりますからね。

上杉 てことは、インパクトで手を前にグッと押し出すわけですか。なんだ、簡単じゃないですか。

中井 違うんですよ、上杉さん。いついかなる場合も、手の動きはローテーション方向以外、意識してはいけません。以前この連載で、「ダウンブロー」は「なる」ものであって、意識的に「作る」ものではないと説明しましたが、「ハンドファーストインパクト」も同じ。体の回転だけでスウィングすれば、自然にその状態になるものなんです。

ハンドファーストは意識せず、
ボディだけでスウィングする!

034
木の下からのショットには「ハンドファーストインパクト」の秘訣が詰まっている――?
上杉 ふ~ん。でも、それが木の下からのショットとなんの関係があるんですか?

中井 フォローがとれない状況では、クラブを体の動きでコントロールすることしかできません。ちょっと荒療治的ではありますが、この状況は、ボディだけを使ってスウィングするのに最適な状況なんです。手でクラブを動かしたら、クラブの動きを制御できず、フォローで木に当たってしまいますからね。ちょっと、実際に打てみましょうか。

上杉 うーん、そうは言っても若干不安ですね。なにかほかにコツはないんですか?

中井 素振りですね。この状況では、フォローはクラブが地面と水平になったあたりまでしかとれませんが、その段階でアイアンのトウが空を向いている状態、それがボディだけでスウィングできている証拠ですから、素振りでその状態になっているか確認してから打ってください。それともうひとつ。「インパクトでハンドファーストになる」のが理想だからといって、意識してインパクトをつくらないこと。腰の高さのフィニッシュまで、一気に振り切ってください。

上杉 (素振りを繰り返す)あ、なんか分かった気がする。ちょっと打ちますね。とりゃっ。

中井 ……うーん、ナイッショ!

上杉 素晴らしいですね――低めの弾道がうなりを上げるように飛び出し、そこから旅客機がテイクオフするように伸び上がり、猫科の動物を思わせるしなやかさでもって着地しました。グリーンオンはなりませんでしたが、この状況からは最高の結果です。

中井 飛距離はどうでしたか?

上杉 あ。たしかに、すごい飛んでる。腰の高さまでしかフォローをとっていないのに、ふだんのフルショットと同じくらい飛んでいます。

中井 ふふふ、これが「ハンドファーストインパクト」の威力です。

上杉 なるほどな~。しかも、この打ち方は林の中から直接的に役立ちますね。

中井 ええ。この打ち方ができれば、林の中でちょっと振りにくいからといってすぐに横に出す、という発想が必要なくなる場合も多いでしょうね。

上杉 たしかに。つまり、ひとつ失言をしたからといって、それを執拗にあげつらい、失地を挽回するためのチャンスすらも与えない日本のメディアに教えてあげたい、そう言いたいんですね? 中井プロ。

中井 それとこれとはだいぶ話が違う気がしますが……。

上杉 いずれにせよ、09年のマスターズ、フィル・ミケルソンが最終日の15番ホールの林の中から放った起死回生のショットや、79年のロイヤルリザム・アンド・セントアンズでセベ・バレステロスが放った「駐車場ショット」を引き合いに出すまでもなく、困難な状況にこそ、チャンスの果実は転がっている。忘れていました、反省です。

中井 そのためにも、今回の「ハンドファーストインパクト」はしっかり身に付けたいですね。飛距離アップはもちろん、正確性も格段に向上しますから。とはいえ今回のレッスンはあくまで荒療治。読者の皆様におかれましては、実際に同じ状況で試されるときは、十分に注意してくださいね!

上杉 読者の大半は私より上手くないですからね。諸君、十分注意するように。

中井 お願いだからその「上から目線」はやめてください……。

 
というわけで今週は、意外なところに上達のヒントは隠されているという、ちょっとイイ話でした! ともあれ、木が近くにある状況でのショットは本当に危険。ケガの恐れがあるので、十分に注意してくださいね。それではまた来週、目指せ、マスターズ!



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