僕のマグノリアレーン

2011.08.04

【第29回】
魔球! マジェスティック・ロブ登場

僕のマグノリアレーン

マスターズを目指す! そう宣言したジャーナリスト・上杉隆と、それをサポートするプロゴルファー・中井学による二人三脚ゴルフレッスンドキュメント「僕のマグノリアレーン」、通称「僕マグ」。今週は、ショートゲーム編第3回!

第1回から読む   バックナンバー

「飛ばない動きを
小さくしたもの」がロブだ

上杉 いや~、素晴らしかったですね。

中井 え? なんの話でしょう。全英女子オープン連覇を飾った、ヤニ・ツェンのプレーぶりのことですか。

上杉 残念ながら、違います。先日、東京ドームで2日間にわたり開催された、布袋寅泰さんと吉川晃司さんによる「コンプレックス」のチャリティライブのことです。

中井 なるほど、冒頭からゴルフとまったく関係ない話ですね。いや、でも本当に凄かった。私もライブを拝見しましたが、ギター1本、歌声ひとつで5万人の観客を圧倒するパフォーマンス。あれこそプロだと感動しました。

上杉 中井プロ、我々も負けてはいられません。ともに頑張って目指しましょう、東京ドームを。

中井 ……一応つっこんでおきますが、我々が目指しているのは、東京ドームではなくオーガスタナショナルゴルフクラブです。

上杉 そうでした。

中井 先日のコンプレックスのライブには2日間で10万人のお客さんが集まりましたが、マスターズには大会期間中を通じて10万人以上のパトロンが集まりますから、決して負けていませんよ、コンプレックスのおふたりに。

上杉 たしかに。しかし、それだけのお客さんが集まるとなると、やはり布袋さんのギターパフォーマンスばりに、「見せるプレー」も必要になってきますね。

中井 まだ出場の端緒さえつかんでいないのに早くもパフォーマンスを気にするとは、さすがです。しかし、あながち間違いではありません。とくに、小技の精度が求められるオーガスタでは、今週教えるロブショットは、スコアメークの上でも、派手さの面からしても、ピッタリの技といえます。

上杉 いいですね~、ロブショット。ふわっと上げてピンポイントで狙うロブは、まさに「見せる」技です。

中井 先週、アプローチは、「飛ばせる動きを小さくしたもの」と言いました。これは、スピンをかけて止めるアプローチの場合。ロブの場合は、「飛ばない動きを小さくしたもの」と言うことができます。ここで問題。「飛ばない動き」って、なんだと思いますか?

上杉 飛ばない動きか~。なんだろう。チョロ?

中井 飛ばなさ過ぎです、それは。正解は、「スライス」です。

上杉 スライス、ですか。しかし、スライスとロブにはなんの関係もないように
思えるのですが。

中井 それが、あたかも布袋さんと吉川さんのような深い関係があるんです。フェースが開いた状態でインパクトを迎えた結果、右に曲がる高い球になって、飛距離が出ない。これがスライスですよね。ロブも同じ。フェースが開いた状態でインパクトすることで、球を上げる――。

上杉 でも、右に曲がってしまっては困るじゃないですか。

中井 ドライバーショットに比べて、はるかに短い距離を打つわけですから、気にする必要はありません。それに、これから教えるやり方は、決してカットに振るわけではないので、そもそも余計なサイドスピンはかかりません。ちょっとサンドウェッジを持って構えてください。

上杉 はい。

中井 フェースを思い切り開いてください。

上杉 開きました。

中井 フェースを開くと、リーディングエッジが右を向きますから、体の位置を反時計回りに動かして、リーディングエッジがターゲットを向くよう、回り込んでください。

上杉 回り込みました。

中井 これで準備は完了。フェースを開いた分、振り幅は大きくなりますが、あとはいつも通りにスウィングするだけです。さあ、どうぞ。

フェースはあくまでロフトが
変わらずに「回る」だけ

029腕をローテーションさせるのが正しいロブショットの打ち方だと中井プロ
上杉 (打つ)いつも通りにトップしたんですが……。

中井 いつも通りの悪いクセが思いっきり顔を出してましたよ、上杉さん。まずはボール位置を確認してください。

上杉 あ、そうか。体の中心より左だ。

中井 それに、ボールを上げたいからって手を使って小細工してはいけません。ボールはクラブのロフト角が上げるもの。あくまでも、みぞおちをバックスウィングで右に向け、ダウンからフォローにかけて左に向ける意識だけで振ってください。あと、これは極めて重要なポイントですが、フェースローテーションも忘れてはいけません。

上杉 それじゃ、インパクトでフェースが閉じちゃって、球が上がらないじゃないですか。

中井 「開いて、閉じる」じゃないんです。正しいフェースローテーションを行えば、フェースはあくまで「ローテート」するだけ、つまりはロフト角が変わらずに「回る」だけなんです。インパクトで右手の位置が左手よりも上にくるような、「手を返す」打ち方だと、ロフトが立ってロブショットは打てません。しかし、インパクトで右手が左手よりも低い位置にある、純粋に肩の付け根から腕を回す打ち方だと、インパクト後にヘッドは低く長く動き、反対にボールには十分なスピンがかかり、フワッと浮かぶロブショットになるんです。よし、では以上を踏まえて再度打ってみてください。

上杉 なんか、難しそうですがやってみます。(打つ)お~、意外とうまく打てました。でも、思ったより飛んじゃった。

中井 大切なことを言いわすれていました。ロブショットだからって、ヘッドを走らせる意識は不要です。むしろ手元は固定したほうが、球質はやわらかくなります。まさに、上杉さんの大好きなセベ・バレステロスのイメージです。

上杉 それを先に言ってください。私は高校時代「広尾のセベ」と自称していた男です。

中井 「自称」だとあまり意味がない気がするのですが……。

上杉 問題ありません。ジャーナリストだって、作家だって、みんな「自称」です。まあいいや。ともかく、私にとってセベのイメージで振るのはお手のものです。よし、ボールを体の中心より左において、手元を固定した上でフェースローテーションを入れて……とりゃーっ。

中井 おおっ。

上杉 なんですか、この球筋は……。驚くほどやわらかい、まるで布袋寅泰さんがギターをやさしく奏でるような、アフター・ザ・レインのような放物線です。

中井 意味不明です。でも、完璧ですね。あとは練習で精度を高めれば、十分オーガスタで使える球になるはずです。

上杉 すごいですね~。これぞまさに、「見せる球」。ああ、グリーンを取り囲んだパトロンたちの割れんばかりの拍手が聞こえるようです。ただ、打ち方は分かりましたが、まだ大きな問題がひとつ残っています。

中井 ええっ、いったいなんですか?

上杉 このロブショットの呼び名に決まってるじゃないですか! コンプレックスの名曲「マジェスティック・ベイビー」にちなんで「マジェスティック・ロブ」がいいか、同じく「クライ・フォー・ラブ」にちなんで、「クライ・フォー・ロブ」がいいか……うーん、悩みますね、これは。

中井 もう、好きにしてください……。

 

トホホ……な終わり方でしたが、レッスンはきっとみなさんの参考になったはず(汗)。来週も、目指せマスターズ!



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

運営会社 | プライバシーポリシー