僕のマグノリアレーン

2011.02.10

【第5回】
「ヒンジ&ホールド」って、なんだ!?

僕のマグノリアレーン

ジャーナリスト・上杉隆が掲げた「マスターズ出場」というとんでもない目標に向け、知己のレッスンプロ、中井学は“飛距離アップ”を課題に挙げた。オーガスタを攻略するための飛距離を、上杉隆は手に入れることができるのか――?

※マグノリアレーンとは……ゴルフの祭典「マスターズトーナメント」が開催されるオーガスタナショナルGCへの進入路。ここを通り抜け、マスターズに出場するのがすべての男性ゴルファーの夢なのだ。

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手首は意識的に返すのではなく、
自然にリリースされるもの。

005-1前回のレッスン「しゃがむイメージ」で、上杉のヘッドスピードは飛躍的に上がったが……

 

中井 上杉さん、スウィングよくなってきましたね~。

上杉 これも、すべての私の持って生まれた才能……ではなく、中井プロのおかげですよ。本当にありがとうございました。マスターズでは最低でも予選通過、できれば優勝争いに絡めるよう頑張ります。その際はキャディでひとつ、よろしくお願いします!

――――「僕のマグノリアレーン」完――――

中井 ……あの、上杉さん。連載がはじまってまだ今回でわずかに5回目。しかも、ここまで飛距離アップのためのレッスンしかしていませんし、そもそも飛距離アップレッスン自体がまだ途中なんですけど。

上杉 あれっ。そうでしたっけ?

中井 そうです。まだ「トップでクラブを置いてくるイメージで、下半身リードを覚える」「バックスウィングでしゃがむイメージで、前傾角度を保つ」のふたつしか教えてません。これだけでもスウィングはだいぶ変わってきていますが……。

上杉 まだマスターズレベルではない、ということですか。

中井 永田町マスターズ、とかそういった大会がもしあれば上位争いは可能だと思います。しかし、東京都千代田区永田町ではなくアメリカはジョージア州オーガスタで開かれる大会の話であれば、残念ながらそうです。

上杉 なんか、回りくどい言い方ですね。要するにまだオーガスタは遠いということですね。仕方ない、では今週もオーガスタのためのレッスンをお願いします。

中井 とても教わる人の態度とは思えませんが、了解です。今週上杉さんに教えようと思っていたのは、「ヒンジ&ホールド」という動きです。

上杉 ヒツジ&ボイルド? なんですか、それ? 中東料理か何かですか?

中井 ヒンジ&ホールド!

上杉 ヒンジ&ホールド? ん? ゴルフ歴約30年、初めて聞く言葉ですね。

中井 そうですね、詳しく説明する前に逆にひとつだけ質問させてください。上杉さん、インパクト前後で両手をターンさせる意識を持っていませんか?

上杉 持っていますね。ダウンスウィングでクラブをタメて、インパクト直前で両手を返すことでクラブを加速させて球をつかまえる。これは飛ばしの必須要素ですから。

中井 やはり。

上杉 違うの?

中井 残念ながら。これは質問ではなく確認ですが、上杉さん、大事な場面でチーピン(低い球がターゲットより左に出て、さらに左に曲がる球=ダグフック)が出ますよね?

上杉 出ますね~。あれは本当に困るんですよ。どうしよう、優勝争いをしているオーガスタの13番であれが出て、左のクリークに打ち込んでしまったら……。

中井 まだ、そうした具体的な心配は無用です。

上杉 そう?

中井 はい。あのですね、チーピンが出るのは、手をひねって返すからなんです。先週お伝えした通り、タメというのは自ら意識して作るものではなく、正しい動きをした結果、「作られるもの」。同様にタメたものを解放するリリースの動きも、意識する必要はないんです。意識的に手をひねってクラブをリリースすると、フェース全体が左を向き、なおかつロフトが立ってしまうんです。

上杉、ワトソンのトップと
サットンのスウィングを手に入れる!

005-2手首を親指側に折る動きは「コック」。甲側に折る動きが「ヒンジ」だ!

 

上杉 なるほどなあ。ロフトが立って、フェースが左を向くからチーピンになるわけですね。そりゃ、言われればわかるけど……。でも、それが「ヒツジ&ホールド」とどんな関係があるんですか。

中井 お願いだから覚えてください。ヒンジ&ホールドです。

上杉 そうそう、ヒンジ&ボイルド。

中井 ……ものすごくやる気が減少してきましたが、頑張ってマジメに解説すると、ヒンジというのは手首の動きを表します。コックという言葉はもちろんご存知ですよね。

上杉 もちろん。手首を親指側に折る動きですよね。セルヒオ・ガルシアに教えてもらいました。

中井 ガルシアに? どこでですか?

上杉 テレビで。

中井 観ただけでしょう。まあいいです。その親指側に折る動きという点は正解です。さて、それに対して、手首を甲側に折る動きを「ヒンジ」と言うんです。

上杉 知ってます。

中井 本当ですか。

上杉 ベン・ホーガンに教えてもらいました。

中井 はいはい。先に進みましょう。で、上杉さん、ためしにコックを作る意識は持たず、先週お伝えしたように、右下にしゃがみ込むイメージだけで、クラブを上げてみてもらってもいいですか?

上杉 はい(クラブを上げる)。

中井 完璧です。ちょっと撮影しますね……この画像を見てください。

上杉 あれ? 意識していないのに、コックができていますね。

中井 右下にしゃがみ込むイメージでバックスウィングすると、前傾角度が崩れないというメリットと、もうひとつ手で上げる意識をなくせるというメリットがあります。そして、手を使わずにクラブを上げれば左手首は自然にコックされるんです。右手首にも注目してみてください。

上杉 おお。トム・ワトソンになっている。

中井 なんですか、今度は?

上杉 わずかですが、甲側に曲がっている出前持ちスタイル。

中井 うん、微妙ですがまあいいでしょう。つまりそれが“ヒンジ角”です。正しいバックスウィングを行えば、右手にはわずかにヒンジ角がつきます。そして、ダウンではこの角度を保つ意識でスウィングする。すなわちこれが「ヒンジ&ホールド」というわけです。実際に打ってみませんか?

上杉 了解(と、打つ)! あれ? なんだか上手く打てません。ダウンでフェースが開く感じがするんですけど。

中井 上杉さん、なにか忘れていませんか?

上杉 なにか? あっ、週刊文春の原稿入れるの忘れたかも!

中井 そりゃ大変! って違います。原稿の締め切りは知りませんが、今上杉さんが忘れたと断言できるのは、連載第2回でお話しした、「トップでクラブを置いてくる」イメージです。ヒンジ角をホールドした状態から、手でクラブを引き下ろすと、手が前に出てフェースが開いた状態でインパクトを迎えるので、スライスしか出ません。

上杉 そうか。原稿の締め切りも気になりますが、そこを意識してもう1回打ってみます。

中井 トップでクラブを置いてくる。つまり、手を使わずに体の動きだけでダウンスウィングを行う。それだけを意識して、手を使わずに振ってみてください。

上杉 (打つ)。おっ、なんというか、手にまったく衝撃が来ません。なんだこれ。すごくいい感触ですよ。

中井 完璧につかまった当たりが出ましたね。データ上ですが、飛距離もかなり出ています。手を返す動きを入れるのに対し、ヒンジ&ホールドは安定感が出ますし、慣性エネルギーによってクラブも自然にリリースされます。結果、飛距離も出るしつかまりもいいんです。

上杉 なんというか、ダウンでフェースがずっとボールを見続けている感覚ですね。あれ、でも、ハル・サットンみたいなスウィングだなぁ。

中井 古いですね、相変わらず。でも、たしかにそうかも。

上杉 よし、これからは全ショット、ハル・サットンのイメージで振り抜きます!

 

上杉隆の「ハル・サットンになる」宣言で幕を下ろした「僕のマグノリアレーン第5回」。なんだかんだと言いながらも、たしかに飛距離はアップした。次回は実際のコースにレッスンの場を移し、さらに本格的なレッスンがスタート!

目指せ、マスターズ!



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