僕のマグノリアレーン

2011.02.03

【第4回】
バックスウィングで「しゃがむ」?

僕のマグノリアレーン

 2011年初頭、ジャーナリスト・上杉隆が掲げた目標は、「マスターズ出場」とい うとんでもないものだった。知己のレッスンプロ、中井学は、上杉にオーガスタ攻略法として、まずは“飛距離アップ”を課題に挙げ、「クラブを置いてくる」イメージを持たせることにより、いきなりヘッドスピードアップに成功させたが……。

※マグノリアレーンとは……ゴルフの祭典「マスターズトーナメント」が開催されるオーガスタナショナルGCへの進入路。ここを通り抜け、マスターズに出場するのがすべての男性ゴルファーの夢なのだ。

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飛距離アップの秘策は、
前傾角度をキープすることだ!

中井 おさらいしておきましょう。体をねじり上げ、ねじり戻すイメージでスウィングしていた上杉さん。トップの位置にクラブを「置いてくる」イメージで切り返すことで、見事ヘッドスピードが41~42m/sから45m/s近くまでアップした、めでたしめでたし、でしたね?

上杉 「でしたね?」じゃありませんよ、中井さん。マスターズに出場するプロの平均ヘッドスピードはおよそ50~52m/s。全然足りないって話だったじゃないですか。

中井 すみません、その通りでした。

上杉 とはいえ、たしかに先日教わったクラブを「置いてくる」イメージはよかったっ。実によかったっ。感動したッ!

中井 あの~、突然小泉純一郎元首相のモノマネをするのはやめてください。

上杉 あれ、なんで分かったの。

中井 そのフレーズなら誰でも知っているからです。決してモノマネが上手というわけではありません。

上杉 なんという断定的な。ということは……(低い声で)こんばんは、城達也です。今夜はカナディアンオープン3日目、最終組のプレーをお伝えします。

中井 おっ、今度はこれまた80年代に放映されていた「ビッグイベントゴルフ」のナレーター・城達也アナ(故人)ですね。これまた懐かしい……。

上杉 なんで城達也ってわかったんですか?

中井 自分で名前を言ってるじゃないですか。お願いだからそろそろマジメにやってください、上杉さん。第一、何人の読者が80年代のマニアックなゴルフネタについてこられると思っているんですか。

上杉 ……残念な人たちですね。そうやって、ゴルフの基礎を疎かにする人たちは永遠に城達也は望めませんから。あ、上達は望めませんから。

中井 全然おもしろくありません! しかもビッグイベントゴルフを見ることはゴルフの基礎でもないですし……。

上杉 そう? ビッグイベントゴルフは、マスターズへの第一歩だと思うけど、テレビ観戦をするのも……。

中井 チャンネルが違います。

上杉 あれ? それってTBS?

中井 日テレです。マスターズはTBS。基本です。

上杉 マスターズ、基本からやり直しかぁ…。

中井 とにかくマスターズで戦うためには、あと最低でも40ヤードは飛距離をアップさせなければならないわけですね。

上杉 なにか秘策がある、とのことでしたが。

中井 ええ。ポイントは、前傾角度をキープすることです。前傾角度が変わらずに体が回転すれば、スウィングのエネルギーは余さず球に伝わります。しかし、上杉さんはスウィング中、前傾角度が変わってしまうんですよ。

上杉 前傾角度?

中井 そう、スウィング中の。

上杉 そんなこと、初めて言われました。いったいどうなっているんですか?

中井 バックスウィングで伸び上がってしまっているんです。そしてダウンでは逆に沈み込んでいる。これまた、上杉さんに限らず多くのアマチュアゴルファーに共通の悪い動きなので、読者の皆様も是非参考にしてください。

上杉 え~、伸び上がっているつもりないんですけど。むしろ、前傾角度をキープして、微動だにしないスウィングを心がけているつもりなんですけど…。

中井 う~ん、やっぱり、先週に引き続きこれもイメージの問題が大きいんですよ。バックスウィングって、どうしてもクラブを「振り上げる」イメージになるでしょう。

上杉 そりゃそうです。振り上げなければボールは飛ばないでしょう。

中井 その意識が問題なんです。それにつられて、ついつい体も伸び上がってしまうんです。

上杉 そんな単純な話なんですか。

中井 そんな単純な話なんですよ、実際。バックスウィングで伸び上がる。伸び上がったらその分だけダウンで沈み込まないと当たらない。スウィング中に余分な上下動が発生して、インパクトが安定しないわけです。ちょっとスウィングを撮影させてください。ほら、ね。

上杉 ホントだ。頭の位置がトップに近づくに従って微妙にせり上がっている。いいですね~、この機械――。

中井 いや 機械の話じゃなくて。

上杉 そう、では、どうすればこのカメラを調整できるかどうかですね。

中井 いや、カメラの問題でもなくて、スウィングの問題です。いい加減に真剣にやってください。

上杉 はい。

 

真剣に「しゃがむ」だけで、
ヘッドスピードが驚異的にアップ!

004バックスウィングで「しゃがむ」ことを意識すると……
中井 さて、ではどうするか。単純な話だけに、解決法も単純です。バックスウィングで「しゃがむ」だけ。

上杉 あの~、中井さん。

中井 なんでしょうか。

上杉 そちらこそもっと真剣にレッスンしてください。

中井 なにを言っているんですか、いたって真剣ですよ。両親にアメリカに留学 する! と宣言したときと同じくらい真剣です。

上杉 なるほど、中井さんのアメリカ留学は、しゃがむ程度の真剣さで決まった、そういうわけですね?

中井 違うっ。あ、失礼、違います。いいからとにかく振ってみてくださいよ、もう。

上杉 ははは。じゃ、真剣にしゃがむっと(と、打つ)。んんっ? なんか、ものすごくスムーズに振り抜けました。

中井 今のでヘッドスピードが45.8m/s。アマチュアレベルであれば、立派な飛ばし屋の数字です。ただ、体自体はそれでもまだ伸び上がっています。もっと極端に、体の右下方向に思いっきりしゃがみこんでください。

上杉 よし、やってみます。どうだっ(と、打つ)。

中井 ……!

上杉 どうしたんですか、中井さん。

中井 見てください。ヘッドスピードが――48.9ですよ。

上杉 おおっ! なんじゃ、これは。担当編集者、カメラ、カメラ。ちゃんと証拠の写真を撮っておかないと「やらせ」だと思われるじゃないですか。

担当編集者 いや、きょうはカメラを持ってきていません。

上杉 えっ。日大芸術学部写真科出身のくせに、なぜ持っていないんですか。まったく、何ですか。まぁいいや。それにしてもいきなり50近くになるのははすごい。でも、さすがに今のスウィングはしゃがみこみ過ぎでしたね。たぶん、10センチくらい沈み込みましたよね。

中井 いえ、全然。

上杉 いいです。お慰みは。

中井 本当です。では、今のスウィングもビデオ撮影してましたから、確認してみましょうか。

上杉 あれ? 本当だ。頭の位置が微動だにしてない! あんなにしゃがんだのに……。

中井 それくらい、イメージと実際の動きにはギャップがあるものなんです。見てください、インパクトで体の前傾角度とシャフトの角度がちょうど垂直に交わっていますよね。これがいちばん飛ばせるインパクトです。

上杉 (軽く手を挙げ、笑みを浮かべながら四周を見渡す)

中井 あの~、なにをやっているのでしょうか。

上杉 今のスウィングでオーガスタを周り、15番ホールのバー5で難しい2オンに成功して、池の周りのスタンドに座るパトロンたちの声援に応える練習です。

中井 その練習は不要です。

上杉 なぜですか。練習を疎かにするゴルファーは城達也、もとい上達できないじゃないですか。

中井 (無視して)とにかく、ヘッドスピード50m/sの背中が見えてきましたね。ただ、飛ばしの要素はヘッドスピードがすべてではありません。その辺は、次回以降レッスンしていきましょう。

上杉 ところで中井さん、せっかくのイーグルチャンスですから、やっぱりもう少し派手に、ガッツポーズとかしたほうがいいですかね?

中井 まだ続いてたんかいッ!

上杉 なんで関西弁なんですか、突然。

中井 だってボク大阪府出身ですもん、ってもうええわっ。

 

中井学の“ノリツッコミ”で幕を閉じた「僕のマグノリアレーン」第4回。上杉の飛距離は、さらなるアップを実現できるのか? クールな理論家・中井のキャラクターはこの先どうなってしまうのか? 目指せ、マスターズ!



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